既に僕等は霧の中から抜け出そうともがいていた。確認出来ない焦燥感との戦いでもあった。 何とも表現し難いピリピリしたムードは、一週間も前から僕等を巻き込んでいた。
9月11日、土曜日。戦いは朝から始まっていたのだ。午前10時の集合時間(わざわざむし返すわけでもないが)、
現れるはずのグラビア(Aikane Hula Festより参照。詳細情報)が、
一向に現れる気配が無い。時間は刻一刻と迫っている。仕方が無いのでとりあえずスタジオから荷物を運び出す。そして携帯が鳴り響く。
僕は何事かと思い電話に出た。なんと、グラビアが寝坊したのだ。時間には厳しいグラビアが、まさかの寝坊。人生何が起こるか分からない。後日、華舞麗出版編集部にグラビアから直筆のメッセージが送られてくる。
『目覚まし時計を三つから四つに増やします。ごめんなさい。』(華舞麗出版“体育教師のデイリーリラァ〜ックス”より抜粋)。イベント当日にリラックスし過ぎたかと思わせる文章だ。
私信ではあるが、特に重大な過ちでは無いのでもう気にしないで欲しい。な?
何とか荷物を車に運び込み、カマイレ先生と撮影部隊のG2は車で移動。カウラさん(詳細情報)と僕は電車で新百合ヶ丘駅を目指す。
気持ちは急いでいるにも関わらず、話題の中心は「お昼ご飯どーしよー?」だったことは、誰にも話せない。時刻は既に11時になろうとしていた。
当日のリハーサルは11時半からの予定だった。既に間に合わない。実際焦っていたのは僕等よりも、会場で待機していたハウマナ(生徒)達だったのは言うまでも無いだろう。
事実、色んな方々から電話やメールがあった。顔面蒼白だったのはカモミ先生だろうと予想がつく。

| 体を慣らすこともなくリハーサル開始。そして全力で踊る。余裕を出す余裕すら与えてくれなかった・・・。 |
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11時半過ぎに到着した僕等は早速会場へと足を運ぶ。間髪を全く入れず、先に集合していたハウマナ達の痛い視線を浴びる。リハーサルが押しているようだ。
プログラム一番目のカネ・カヒコをずっと待っていてくれたらしい。他のお教室の方々のカヒコは既に終了していた。カマイレ先生はまだ到着しない。
「先生抜きで!」と言われようにも、肝心のパフ(ドラム)がまだ車中にあるので、どうしようもない。強制敢行!ギリギリの、もう待てません状態に陥った僕等の前に、
カマイレ先生とパフがやってきた。カマイレ会出演者全員に安堵の色が見えた(もちろん主催者側の目は赤く燃えていたことだろう)。

| 緊張と不安との格闘中の八重崎さん。初舞台を踏む時は本番よりもリハーサルが怖い。 |
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全力でカネ・カヒコのリハーサルを終えた30秒後には、アウアナのリハーサルが始まっていた。それぐらいの速さで進行されていたのだ。
そしてそれぐらい時間が押していたことは明白である。
いくつか他のハラウ(スクール)のリハーサルが終え、カマイレ会が出陣。今回のカマイレ会出演者の中には『初舞台』という方々が沢山いた。
八重崎さんもその一人だ。
昨年11月後期から入会した八重崎さんは、今年の8月から夜のレッスンに来る様になって1ヵ月。そして初舞台。 緊張も不安も自分がどんな感情を抱いているのかすら不明瞭になっていたことだろう。それでも彼女は初めてのフェザーレイ作りに悪戦苦闘を重ね、
ドレスを新調し、用意は万端。後日華舞麗出版に送られてきた日記を読むと、準備は出来たものの『肝心の踊りはどうなんだ〜。
と本番前日になっても、踊りの細かな部分にも幾つか疑問が残り、焦燥感に駆られるばかり。』と、
自分を振り返っている。本番前というのはそういうものである。僕のような臆病者までになるとパニック状態になるので今後注意が必要だ。

| 最後の最後まで一人一人の細かいチェックを怠らないクム・カマイレ(写真右) |
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そうこうしている間にリハーサルは終了。身体と気持ちの折り合いが付く間も無く、余計不安は募るばかり。
そして目の前にはいつもの厳しいレッスンと何も変わらずに、厳しい指摘をしてくるカマイレ先生。
『あぁこんなんじゃ踊れない・・・。どうしよう・・・。』そんな気持ちがビンビン伝わってくる初舞台組みの踊り。
しかし、既に采は投げられている。後戻りも出来ない。当然、『やるしかない』。
リハーサルが終わり、楽屋で準備をしている初舞台組みを見ると、もうそんな不安は消えていた。
違う目線で表現するとしたら、緊張や不安を感じている暇も無いほど、準備が忙しいのだ。
頭に付けるフラワーアレンジは特に難儀である。カネ部門も身支度があったので、詳細は書くことが出来ないが、
ワヒネ・クプナ達の楽屋はほぼ戦争状態であったと考えられる。僕らは難民キャンプで細々と暮らしていた。
そこにマクドナルドのビッグマックとフィッシュマックディッパーが支給されたことは、
カウラさんには黙っておいた方が良い。
程なくして準備も整え終え、僕等はステージへ向う。先陣を切ったのは、カネ・カヒコだった。 |